近年、クリニック開業の選択肢として、医療モールへの入居案件は引き続き多く見られます。
医療モールとは、内科・小児科・整形外科・皮膚科・耳鼻咽喉科など複数のクリニックと、調剤薬局が同一敷地内または同一建物内に集まって開業する形態です。
単独開業と比べて、開業当初から認知されやすく、複数の診療科が集まることで患者の利便性も高まります。
また、クリニック同士の連携がうまく機能すれば、紹介・逆紹介の流れが生まれ、地域内での医療提供体制を強化できる可能性があります。
一方で、医療モールには注意すべき点もあります。
まず、隣接するクリニックとの関係性です。診療方針や患者対応、紹介の考え方に違いがある場合、当初期待していた連携が機能しないことがあります。
また、当初予定されていた診療科がすべて決まらず、結果的に集患効果が限定的になるケースもあります。
さらに、診療内容が重複するクリニックが近接している場合、同じ医療モール内で競合関係が生じる可能性もあります。
賃料面にも注意が必要です。開業時は条件が良く見えても、数年後に賃料改定が行われ、経営を圧迫する可能性があります。
特に宮城県内では、仙台市中心部、長町、泉中央、名取、利府、富谷など、開業候補地として注目されるエリアで医療モール案件が出ることがあります。
しかし、人気エリアであることと、開業に適していることは必ずしも同じではありません。
人口動態、将来人口、年齢構成、周辺の診療所数、病院との距離、駐車場の確保状況、生活動線、人流などを総合的に確認する必要があります。
たとえば、小児科であれば若年人口や小学校区単位の人口推移が重要になります。
整形外科であれば高齢者人口、車でのアクセス、駐車場台数、周辺競合の有無が大きく影響します。
内科であれば人口規模だけでなく、既存内科クリニックの密度や高齢化率、近隣病院との役割分担も確認すべきです。
医療モールは、条件が合えば有力な開業形態です。
しかし、開発会社から提示される資料だけで判断するのは危険です。
開発会社は物件を成立させる立場であり、必ずしも開業医側にとって中立的な立場とは限りません。
そのため、医療モールでの開業を検討する際は、人口データ、診療圏、競合状況、将来性、賃料条件を冷静に確認することが重要です。
宮城・仙台 医科歯科クリニック開業.comでは、宮城県内の人口データ、診療所数、病院情報、将来人口、人流データなどをもとに、開業候補地の分析を行っています。
医療モールへの入居を検討している先生は、契約前に一度、中立的な視点から物件の妥当性を確認することをおすすめします。
