開業医必見!医療機器別に見る、リースと購入の選び方
クリニックの開業において、医療機器の導入は非常に大きな投資となります。機器の導入方法には「リース」と「購入」という選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがありますが、どちらを選ぶかは、医療機器の種類やクリニックの運営方針に左右されます。今回は、宮城・仙台で開業を目指す医師に向け、医療機器の種類ごとに「リース」と「購入」のどちらが経済的に有利かを解説します。
1. 診察用ベッド・椅子、家具など耐久性のある基本設備は購入が理想
診察用ベッドや椅子などは、非常に耐久性が高く、数十年にわたって使用できるため、一度購入してしまえば長期間にわたって追加のコストがほとんど発生しません。また、これらの家具は頻繁に技術革新が起こるものではなく、長期的に使用可能なため、初期費用はかかるものの、長い目で見ればコストパフォーマンスは非常に高いです。
結論:
診察用ベッドや椅子のような基本的で耐久性のある設備は、購入が長期的に見てお得です。初期投資はかかりますが、長期間使用できるため、ランニングコストを抑えることが可能です。
2. 超音波診断装置(エコー):技術進化に対応できるリースが有利
購入のメリット
超音波診断装置は、一度購入すれば長期間使用でき、特にクリニックが安定している場合は、長期的にコストを抑えることができます。また、購入した機器は完全に自分の所有物となり、修理やメンテナンスも自院のタイミングで行うことが可能です。
リースのメリット
超音波診断装置は非常に高価で、また技術革新が早い分野でもあります。リースを利用すれば、初期投資を大幅に抑えながら最新の技術を導入できます。特に、競争力を維持するために最新機種を使いたい場合や、将来的に技術革新に追従したい場合はリースが非常に有利です。さらに、リース費用は経費として扱え、税制面での優遇を受けることも可能です。
結論:
エコー装置は技術進化が速いため、リースが推奨されます。最新の技術を維持したい場合、リースの方が経済的です。
3. レントゲン装置:高額機器にはリースの柔軟性が強み
購入のメリット
レントゲン装置は長期間使えるため、安定した収益が見込めるクリニックであれば、購入によってコストを抑えることが可能です。所有することで、機器の使用方法やメンテナンスの自由度が増し、長期的には経済的になります。
リースのメリット
レントゲン装置は非常に高額であり、初期費用が大きな負担になるため、リースは大きなメリットを提供します。リースを利用することで、初期投資を抑えながらも最新の機器を導入できるため、クリニックの資金繰りが安定します。また、リース期間が終了すれば、最新の機種にアップグレードできるため、技術革新に柔軟に対応できます。
結論:
レントゲン装置のような高額な機器は、特に開業初期や資金が限られている場合はリースが推奨されます。ただし、安定した経営が見込める場合は購入も検討できます。
4. 電子カルテシステム:最新技術を常に利用できるリースが有利
購入のメリット
電子カルテシステムは一度購入すれば、ランニングコストを抑えられることがあります。特にシステムを自院のニーズに合わせてカスタマイズする場合、購入することで柔軟な対応が可能です。長期的にはコストが抑えられるケースもあります。
リースのメリット
電子カルテシステムは技術革新が進んでいる分野であり、クラウド型システムや新しいソフトウェアの登場が頻繁です。リースを利用することで、常に最新のシステムを利用でき、メンテナンスやアップデートもリース会社が対応してくれるため、運用の負担が軽減されます。また、リース費用は経費として計上できるため、税制上のメリットもあります。
結論:
電子カルテシステムは技術進化が早いことを考慮し、常に最新技術を取り入れやすいリースが適しています。
5. 内視鏡システム:使用頻度や技術進化に応じた選択がカギ
購入のメリット
内視鏡システムは高額ではありますが、頻繁に使用するクリニックにとっては、長期的に見て購入が経済的です。所有することで、修理やメンテナンスの自由度が高まり、コストを抑えることが可能です。また、技術が安定している場合、長期間にわたって使用できるため、購入の方が合理的です。
リースのメリット
リースは初期費用を大幅に抑えることができ、数年ごとに最新の機器にアップグレードできるため、技術進化が早い分野では特に有効です。また、リース期間中のメンテナンスや修理はリース会社が対応するため、運用面での負担が軽減されます。
結論:
内視鏡システムは、頻繁に使用する場合は購入が有利ですが、技術進化を重視する場合や資金繰りを安定させたい場合はリースも有効な選択です。
6. MRI・CT装置:非常に高額なためリースが現実的
購入のメリット
MRIやCT装置は非常に高額な機器ですが、長期間使用できるため、安定した収益が見込めるクリニックでは、購入によって長期的にコストを抑えることができます。また、所有することで機器の使用やメンテナンスに関して自由度が高まり、長期的な運用コストを管理しやすくなります。
リースのメリット
MRIやCT装置は1台あたり数千万円以上する高額機器であり、初期投資の負担が非常に大きいです。リースを利用すれば、初期費用を抑えつつ、最新の機器を導入できます。また、リース期間終了後に最新機種へアップグレードすることができるため、技術進化にも柔軟に対応できます。
結論:
MRI・CT装置のような超高額機器は、初期費用の負担が大きいため、リースが現実的かつ経済的です。安定した収益が見込める場合でも、技術進化に対応するためリースが推奨されます。
●リースと購入の選択で考慮すべき点
医療機器のリースと購入の選択は、以下の点も考慮する必要があります。
- クリニックの規模と財務状況:
- 小規模クリニックでは、初期費用を抑えられるリースが有利な場合が多いです。
- 大規模クリニックで、安定した経営が見込める場合は、購入も検討できます。
- 診療科目と診療内容:
- 診療科目によって必要な医療機器が異なります。
- 診療内容の変化に柔軟に対応できるよう、リースを選択することも可能です。
- 税金対策:
- 購入した医療機器は、固定資産として計上でき、減価償却費として経費に計上できます。
- リースの場合、リース料は経費に計上できますが、減価償却費は計上できません。
- メンテナンス体制:
- リース契約の中には、メンテナンスサービスが付属しているものがあります。
- 購入の場合は、クリニックでメンテナンス体制を整える必要があります。
まとめ
医療機器の導入には、各機器の特性やクリニックの運営方針を考慮することが重要です。リースと購入のどちらを選ぶかは、初期投資、技術進化、メンテナンスコストを踏まえた慎重な判断が求められます。また、クリニックの状況や導入する医療機器の種類、そして先生の考え方によって異なります。
複数のリース会社や医療機器メーカーから見積もりを取り、税理士や会計士に相談しながら、慎重に検討することをおすすめします。
【ポイント】
- 医療機器の種類によって、リースと購入のメリット・デメリットは異なる
- クリニックの状況や先生の考え方を踏まえて、最適な方法を選択する
- 複数の業者から見積もりを取り、比較検討する
- 税理士や会計士に相談する
【補足】
- 上記はあくまで一般的な情報であり、個々のクリニックの状況によって最適な方法は異なります。