開業医が知っておくべき医療機器リースと資金調達のポイント
宮城・仙台でクリニックを開業予定の先生方へ。これからクリニックを開業しようと考える医師にとって、医療機器の選定と資金調達は避けて通れない重要なステップです。しかし、医療機器は高価であり、購入する場合には相当な資金が必要です。そのため、多くの開業医がリースや金融機関を通じた資金調達を活用しています。本コラムでは、医療機器リースのメリットと資金調達のポイントについて解説します。
1.医療機器のリースが開業医にとって有利な理由
・初期投資を抑える
開業時には物件の取得や内装、スタッフの雇用など、多くの初期費用がかかります。医療機器の購入は大きな投資となります。高額な機器を揃えるには、多額の資金が必要です。医療機器をリースにすることで、一度に多額の資金を使わず、毎月の支払いに分散させることができます。これにより、運転資金を確保しやすくなり、経営の安定化につながります。
・最新技術の導入が可能
リース契約を利用することで、契約期間終了後に最新の機器に交換することが可能です。医療分野は技術革新が早いため、数年後には性能が向上した機器が登場することが多々あります。購入した機器を買い替えるには多額の費用がかかりますが、リースであればその点もクリアできます。
・維持管理の手間が軽減
リース契約には、メンテナンスや修理サービスが含まれていることが一般的です。これにより、機器が故障しても迅速な対応が期待でき、クリニックの運営に支障をきたすことなく対応できます。特に開業初期はスタッフも限られているため、メンテナンスの手間を省けることは大きなメリットです。
・節税効果がある
リース費用は経費として計上できるため、税務上のメリットも得られます。医療機器の購入とは異なり、リース料金は毎月の支払いに分散されるため、クリニックの収益に応じて計画的に費用を管理することができます。結果として、税負担の軽減にもつながります。
・機器のアップグレードに柔軟性がある
購入した機器をアップグレードする際には、追加の資金が必要ですが、リース契約ならば契約期間内での機器の交換やアップグレードが比較的容易に行えます。これにより、患者に提供する医療サービスの質を常に高めることが可能です。
2. 資金調達の選択肢
医療機器をリースするだけでなく、資金調達も開業準備において非常に重要です。いくつかの資金調達の方法を知っておくことで、柔軟に資金計画を立てることができます。
銀行融資
多くの医師が開業資金として利用するのが銀行融資です。医療は社会的な信頼性が高く、銀行からの融資を受けやすい職業でもあります。特に、医師としての経験や実績がある場合、銀行側も信頼度を高く評価してくれます。融資を受ける際には、クリニックの事業計画書をしっかりと作成し、収益予測や返済計画を明確に提示することが重要です。
政府系金融機関の利用
日本政策金融公庫や地方自治体の創業支援制度も、開業時の資金調達に有力な選択肢です。特に医療業界向けの特別融資や低金利での融資を行っていることがあり、民間の金融機関よりも有利な条件で資金を調達できることがあります。
医療機器リース会社からのファイナンスプラン
一部のリース会社では、リース契約とともに医療機器の資金調達をサポートするファイナンスプランを提供している場合があります。これにより、銀行や他の金融機関を通さずに、直接リース会社から資金を調達することができるため、手続きが簡便です。また、医療機器メーカーと提携しているリース会社を利用すると、特別な割引や条件で機器をリースできることもあります。
3. リース会社の選び方
信頼性と実績
医療機器のリース会社を選ぶ際には、信頼性と実績を重視しましょう。リース契約は数年単位の長期にわたるものですから、サービスの質やメンテナンス対応のスピードが非常に重要です。過去の導入実績や評判を調べることで、信頼できるリース会社を選定することができます。
サポート体制
リース会社が提供するサポート体制も、クリニック運営において重要なポイントです。医療機器の故障やトラブルが発生した際、迅速に対応してくれるかどうか、また代替機の提供があるかなど、契約前に確認しておくべきです。
金利や契約条件の比較
複数のリース会社を比較し、金利や契約条件をしっかりと確認しましょう。リース料や金利の差が長期的にクリニックの財政に影響を与える可能性があるため、契約条件の比較は慎重に行う必要があります。例えば、リース期間や解約時のペナルティ、契約満了後の機器の処理方法（買い取りオプションの有無など）についても確認しましょう。特に、初めてリースを利用する場合、分かりやすい説明をしてくれる会社を選ぶことが大切です。
4. 医療機器リースと資金調達の成功ポイント
資金計画をしっかり立てる
リースや融資を利用するにあたっては、まず事業計画と資金計画をしっかりと立てることが基本です。機器のリース料や融資の返済スケジュールを事前にシミュレーションし、クリニックの収益に対して無理のない範囲で計画を立てることが重要です。事業計画書を作成する際には、設備導入による診療の効率化や患者数の増加予測など、将来的な収益の見通しを含めると良いでしょう。
融資とリースの併用
資金調達の際には、リースと融資を組み合わせて活用することも一つの方法です。例えば、大型の医療機器はリースで導入し、内装やその他の設備は銀行融資で調達するといった形です。リースを活用することで、開業資金全体のバランスを調整でき、クリニック運営を安定させやすくなります。
リースの契約内容を理解する
リース契約を締結する際には、契約内容を十分に理解することが重要です。リース期間中に契約内容が変更できない場合もあるため、長期的な視点でリースのメリット・デメリットをしっかりと把握しておく必要があります。契約書をしっかり確認し、不明な点があればリース会社に質問することを忘れずに。
5. リースの導入がクリニック経営にもたらす影響
キャッシュフローの安定化
リースを利用することで、初期費用を抑えつつ、毎月の固定費としてリース料を支払う形になるため、資金繰りの予測が立てやすくなります。これにより、キャッシュフローが安定し、運転資金の確保がしやすくなります。開業初期は特に不安定な時期となるため、この安定性は経営を支える大きな要素です。
サービスの質向上
常に最新の医療機器を導入することで、患者に提供する医療サービスの質を維持・向上させることができます。特に、競争の激しい都市部では、設備の充実度が患者の選択肢に影響を与えることもあります。最新の技術を使い続けることで、クリニックの差別化を図ることが可能です。
長期的な投資計画の柔軟性
リースを活用することで、医療機器にかかる大きな初期投資を避け、他の必要な設備やマーケティング、スタッフ育成に資金を回すことができます。長期的には、診療の効率化や患者数の増加により、収益が向上する可能性もあります。
結論
これからクリニックを開業する医師にとって、医療機器のリースと資金調達は、成功への重要な要素です。リースを利用することで、初期コストを抑えつつ最新の技術を導入でき、維持管理の手間も軽減されます。また、銀行融資や政府系金融機関を活用することで、クリニックの資金繰りを計画的に管理し、長期的な成長を支えることが可能です。クリニックの成功を左右する設備投資をどのように行うか、慎重に検討し、リースを賢く活用することが重要です。
リース会社や資金調達先を慎重に選び、専門家のアドバイスを受けながら、適切な計画を立てることで、開業初期の不安を最小限に抑えることができるでしょう。資金管理と医療機器の導入を賢く進め、成功するクリニック経営を実現するための一歩を踏み出してください。
