クリニック開業支援コラム:かかりつけ医機能報告制度とは?開業医が知っておくべきこと
宮城・仙台でクリニックを開業予定の先生方へ
かかりつけ医機能報告制度とは?
日本では近年、高齢化の進展に伴い、地域ごとに適切な医療提供体制を確保するため、国民一人ひとりが「かかりつけ医」を持つことが推奨されています。この「かかりつけ医」とは、患者が健康に関する相談や診療を継続的に受ける主治医的な役割を果たす医師を指します。
これに応じて、医療機関も自院がどのような「かかりつけ医機能」を有しているかを明確化し、報告することが求められるようになりました。その仕組みが「かかりつけ医機能報告制度」です。この制度は、地域医療の充実を目的としており、特に高齢者や慢性疾患を持つ患者をサポートする医療機関に対して、定期的な報告を義務付けるものです。
かかりつけ医機能報告制度の概要
「かかりつけ医機能報告制度」は、医療機関が慢性疾患を抱える高齢者や、継続的な医療が必要な地域住民に対して、どのような「かかりつけ医機能」を提供しているかを都道府県知事に報告する制度です。この報告により、地域ごとの医療機関の機能や対応が把握され、医療資源の適切な配分や地域医療の充実を目指しています。
いつから始まるのか?
2023年5月に成立した改正医療法に基づき、「かかりつけ医機能報告制度」は2025年4月から正式に開始される予定です。これに伴い、医療機関は定期的に自院の「かかりつけ医機能」を報告する義務が発生します。2024年中には、報告する内容や基準、様式などが明確に示される予定で、医療機関はその指針に沿って準備を進める必要があります。
【かりつけ医機能報告の創設】 第102回社会保障審議会医療部会資料1
慢性疾患を有する高齢者その他の継続的な医療を要する者に対するかかりつけ医機能を地域で確保・強化するための仕組みを整備する。慢性疾患を有する高齢者等を地域で支えるために必要なかかりつけ医機能について、医療機関から都道府県知事に報告を行う。(詳細は、今後、有識者等の参画を得て検討。)
【報告対象となる医療機関】
○ 地域におけるかかりつけ医機能を確保するために必要な病院又は診療所として厚生労働省令で定めるもの※無床診療所を含む。(詳細は、今後、有識者等の参画を得て検討。)
【報告事項】
○ かかりつけ医機能のうち、以下の機能の有無及びその内容(詳細は、今後、有識者等の参画を得て検討)
①:継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能(厚生労働省令で定めるものに限る)
②:①を有する場合は、⑴通常の診療時間外の診療、⑵入退院時の支援、⑶在宅医療の提供、⑷介護サービス等と連携した医療提供、⑸その他厚生労働省令で定める機能(⑴~⑷は厚生労働省令で定めるものに限る)・連携して②の機能を確保している場合は連携医療機関の名称及びその連携の内
【参考】 厚生労働省:かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に向けた検討状況について(報告)
開業医が対応すべきこと
2024年中には、具体的な報告内容や手続きが明らかになりますが、現時点では以下の点に留意しておきましょう。
- かかりつけ医機能の強化: 慢性疾患を持つ患者さんへの継続的な診療、在宅医療との連携、地域包括ケアシステムへの参画など、かかりつけ医機能の強化が求められます。
- 体制整備: 報告制度に対応するため、医療機関の体制整備が必要となります。電子カルテの導入、多職種連携の強化などが考えられます。
- 情報収集: 厚生労働省のウェブサイトや関連団体からの情報収集をこまめに行い、最新の情報を入手しましょう。
まとめ
かかりつけ医機能報告制度は、地域医療における役割の見える化を促進する重要な施策です。開業を目指す医師にとっても、この制度に対応するための準備が欠かせません。地域医療に貢献するかかりつけ医の一翼を担うために、制度内容を理解し、必要な体制を整えていきましょう。制度の詳細が明らかになるまでには、まだ時間がありますが、今から準備を進めることで、スムーズなスタートが切れるでしょう。
【補足】
- このコラムは、2024年時点での情報に基づいて作成されています。最新の情報は、厚生労働省のウェブサイト等でご確認ください。
- このコラムは、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の医療機関の状況に応じたアドバイスではありません。