クリニック開業資金調達ガイド:日本政策金融公庫編
宮城・仙台でクリニックを開業を検討されている先生方へ。開業資金の調達には、様々な方法がありますが、今回は日本政策金融公庫からの借入について、申し込みから融資決定までの流れを詳しく解説します。
日本政策金融公庫(JFC)とは?
日本政策金融公庫(JFC)は、中小企業や個人事業主を対象とした、政府系の金融機関です。開業を目指すクリニック経営者にとっては、低金利での融資を提供するため、初期費用や運転資金を賄う重要な資金調達手段のひとつとなります。特に、初めて開業を目指す場合、自己資金の不足が一つの課題となるため、JFCの融資制度は頼りになる支援です。日本政策金融公庫の融資制度には、クリニック開業時に適した「新創業融資制度」や「一般貸付制度」などがあり、個々の状況に応じて活用できます。
なぜ日本政策金融公庫なのか?
民間銀行と比較して、低金利で融資を受けることができることが大きな特徴です。特に、開業資金に関しては、国策として支援が行われており、先生方の開業を後押しする制度が数多く用意されています。新規開業の場合には「新創業融資制度」が利用可能で、自己資金の割合や信用力に応じて、無担保・無保証での融資も検討されます。
申し込みに必要な書類
融資申し込みには、いくつかの必須書類が必要です。これらを正確に準備することで、審査がスムーズに進みます。
必須の添付書類
- 事業計画書 (創業計画書)事業計画書は、クリニック開業に向けての全体像を伝えるための書類です。以下の項目を具体的に記載する必要があります:創業計画書の中で、最も重要なのが「創業の動機」です。
- クリニックのコンセプト(診療科目、診療方針、診療時間など)
- 開業予定地とその選定理由(市場調査に基づく説明)
- ターゲット市場と競合分析
- 収益予測(1年目から5年目までの計画)
- 開業に必要な資金とその用途(例えば、内装費用、医療機器購入費用、運転資金など)
- 自己資金の証明書 融資申請時には、開業資金の20〜30%を自己資金で準備するように計画しましょう。そのため、自己資金の存在を証明するために、通帳の写しや預金残高証明書が求められます。
- 住民票 申請者の本人確認として、住民票の写しが必要です。これにより、申請者の居住地や身元が確認されます。
- 身分証明書のコピー 申請者の身分を証明するために、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの公的な身分証明書のコピーを提出します。
- 収入証明書 申請者が他に収入源を持っている場合、例えば、過去の給与明細や確定申告書の写しが必要です。特に、現在他の職業に就いている場合や、医師としての副業をしている場合に求められることがあります。
- 納税証明書 納税状況を確認するための書類です。所得税や住民税の納税証明書が必要となる場合があります。
その他の書類(場合によって必要)
- 賃貸契約書の写し
クリニックの開業場所が決定している場合、その場所の賃貸契約書の写しが必要です。これは、開業地の物件が確保されていることを示し、事業の信頼性を高めるために提出されます。 - 医療機器や設備の見積書 医療機器や内装工事にかかる費用の見積書も求められることがあります。これにより、必要な初期費用が具体的にどのくらいかかるかを示すことができ、融資額の妥当性が評価されます。
- 履歴書 申請者の職歴や資格を確認するため、履歴書の提出が求められる場合があります。特に、医師としてのキャリアや診療科目に関連する専門性が審査で考慮されるため、詳細に記載することが重要です。
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
- 担保を希望する場合は、不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
申し込みから融資決定までの流れ
申し込みのタイミングは、開業地が決定し契約が整い、施工費や医療機器などの見積もりが出そろった段階になります。
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相談・事前審査(開業6カ月前)
- 相談窓口への連絡: まずは、最寄りの日本政策金融公庫の相談窓口に電話やインターネットで連絡を取り、相談の予約をします。
- 事前審査: 相談の際に、開業計画書や事業計画書など、必要書類を提出します。公庫側では、これらの書類をもとに、先生の事業内容や返済能力などを審査します。
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本審査
- 面談: 事前審査を通過すると、担当者との面談が行われます。面談では、事業計画の詳細や、先生の意欲などが確認されます。
- 担保・保証人: 融資を受ける際には、一般的に担保や保証人が必要となります。ただし、公庫によっては、無担保・無保証人での融資も可能です。
- 決算書・申告書: 既に開業している場合は、過去の決算書や申告書を提出する必要があります。
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融資決定通知
- 審査結果の通知: すべての審査が終了すると、融資の可否と融資額が通知されます。
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契約・融資実行(開業3カ月前)
- 契約: 融資が承認されると、最終的な金利や返済スケジュールが決定され、契約書に署名することになります。契約内容をしっかり確認した上で、融資契約を締結します。
- 融資実行: 契約が完了すると、指定された口座に融資実行が行われます。
融資を受けるためのポイント
- 詳細な事業計画: 公庫は、先生の事業計画を非常に重視します。開業場所、診療科、ターゲット層、競合他社など、具体的な内容を盛り込んだ計画書を作成しましょう。
- 資金使途の明確化: 融資を受ける資金をどのように使うのか、明確な計画を立てておくことが重要です。
- 返済計画の策定: 毎月の返済額や、返済期間などを具体的に示した返済計画を作成しましょう。
- 関係機関との連携: 税理士や弁護士など、専門家のアドバイスを受けることも有効です。
その他
- 制度の活用: 公庫では、開業資金だけでなく、運転資金や設備投資資金など、様々な目的で融資を受けることができます。制度の詳細については、担当者に相談しましょう。
- 保証協会: 公庫の融資を受ける際には、信用保証協会の保証を受けることが一般的です。保証協会の保証料は、融資額に応じて支払う必要があります。
まとめ
日本政策金融公庫からの融資は、クリニック開業資金の調達において、非常に魅力的な選択肢です。しかし、融資を受けるためには、事前の準備が重要です。この記事を参考に、計画的に準備を進めていきましょう。
注意: 融資に関する制度や手続きは、変更になる場合があります。最新の情報は、必ず日本政策金融公庫のホームページまたは担当者に確認してください。
借入申込書の記入例です。
創業計画書の記入例です。(歯科)
【補足】
- 上記以外にも、日本政策金融公庫のホームページには、様々な情報が掲載されています。ぜひご参照ください。
- このコラムは、日本政策金融公庫の公式情報を基に作成していますが、必ずしも全てを網羅しているわけではありません。
- このコラムを参考に、日本政策金融公庫の融資制度をより深く理解し、クリニック開業に向けて一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
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